常駐していた現場の企業から声がかかり、所属会社を辞めてその会社の正社員になったことがあります。


法律上のルールと、実際に転籍した私の体験を分けて整理しました。読み終えるころには、話を受けるか・いつ動くか・何を確認するかを判断できるはずです。
この記事でわかること
- 派遣の引き抜きがOKな時期・注意が必要な時期
- 声がかかるまでの期間の目安と、制度上のタイミング
- 業務委託から転籍した私の体験と、確認不足だった点
- 紹介料の仕組みと、話を受ける前のチェックリスト
派遣の直接雇用・引き抜きは違法?結論は「契約満了後ならOK」
派遣先が派遣社員を直接雇用すること自体は、違法ではありません。気をつけたいのは「いつ移るか」です。
派遣会社は「派遣先に就職するな」という契約を結べない
労働者派遣法33条は、派遣会社との雇用関係が終わった後の就職先を縛る契約を規制しています。派遣先への就職を禁じる契約は、正当な理由なく結んではいけないというルールです。
これは派遣社員との契約でも、派遣先企業との契約でも同じです。
厚生労働省の業務取扱要領では、結べない契約の例として「退職後6か月間は派遣先に雇用されない」が挙げられています。仮にそうした定めがあっても、公序に反して無効とされ、従う必要はないと説明されています。
出典:e-Gov法令検索「労働者派遣法」/厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領 第8」(2026年10月26日確認)
ただし契約期間中の移籍は制限されることがある
禁止されているのは、あくまで「雇用関係が終わった後」の制限です。同じ要領では、契約期間中に派遣先へ移ることを制限する契約は認められるとしています。
つまり、有期契約の途中で辞めて派遣先に移ると、契約違反の問題になりえます。動くなら、契約の満了日に合わせるのが基本です。
契約期間中に話が来たときの注意点
- 派遣期間中に派遣先から内定をもらうこと自体は可能です
- 入社日は、派遣契約(派遣会社との雇用契約)の満了後に設定してもらう
- どうしても途中で移る必要があるなら、派遣会社・派遣先・自分の三者で調整する
出典:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領 第8」5・17(2026年10月26日確認)
状況別の早見表
| 状況 | 直接雇用 | ポイント |
|---|---|---|
| 派遣契約の満了後 | 可能 | 派遣会社は禁止できない(33条) |
| 契約期間中に内定をもらう | 可能 | 入社は満了後が基本 |
| 契約の途中で辞めて移る | 要注意 | 期間中の制限は契約で認められる |
| 紹介予定派遣 | 前提 | 最長6か月で直接雇用を判断 |
「引き抜き 期間」の目安は?法律で決まった待機期間はない
「何か月働けば声がかかるのか」「満了後どれくらい空ければいいのか」と気になる人は多いと思います。結論として、法律で決まった待機期間はありません。
声がかかるタイミングは派遣先の事情で決まる
誘うかどうか、いつ誘うかは派遣先の採用方針しだいです。欠員や人員計画のタイミングにも左右されるため、働いた年数だけでは決まらないと考えられます。
私の場合は、現場で働き始めて1年未満で声がかかりました。ただしこれは個人の例で、早い・遅いの基準にはなりません。
制度で決まっているタイミングは3つ
「待つ」以外に、制度として直接雇用が話題になりやすい時期もあります。
| 制度 | 期間の目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 紹介予定派遣 | 最長6か月 | 派遣期間のあと、直接雇用するかを判断する |
| 雇用安定措置(努力義務) | 同じ組織単位で1年以上3年未満の見込み | 派遣会社が派遣先への直接雇用の依頼などに努める |
| 雇用安定措置(義務) | 同じ組織単位で3年の見込み | 派遣会社に直接雇用の依頼などの措置が義務づけられる |
出典:鳥取労働局「派遣労働者に関するQ&A」/厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領 第8」16(2026年10月26日確認)
満了後、入社日を空ける必要はある?
33条の考え方から、満了後すぐの入社を禁じる契約は原則として結べません。入社日は、派遣先と相談して決めて問題ありません。
ただし、派遣先が派遣会社に紹介手数料を払う取り決めがある場合は、手続きのために企業間で調整が入ることがあります。入社日を決める前に、派遣先の担当者に手続きの流れを確認しておくと安心です。
派遣先から声がかかって正社員になった私の体験談
ここからは私自身の話です。会社名など特定できる情報は伏せ、事実の範囲で書きます。
当時は派遣ではなく「業務委託」で現場にいた
私のキャリアは、派遣型正社員としてコールセンターの現場に派遣されたのが始まりです。その後、SES・客先常駐の会社への転職を経て、業務委託としてコールセンターの現場で働きました。
声がかかったのは、この業務委託の時期です。そのため私のケースは、厳密には労働者派遣ではありません。派遣法33条がそのまま当てはまる状況ではなかった、という点は正確にお伝えしておきます。
業務委託・SESで常駐している人が確認したいこと
- 業務委託や請負で現場に常駐する働き方は、法律上の「派遣」とは別の扱いです
- 派遣法33条の対象は労働者派遣なので、同じルールが当てはまるとは限りません
- 所属会社と現場企業の契約に、引き抜きを制限する条項が入っている場合もあります
- 自分の雇用契約書・就業規則を確認し、不安なら都道府県労働局などに相談する
出典:大阪府「派遣労働」(出向・業務処理請負・労働者派遣の違い)(2026年10月26日確認)
働き始めて1年未満で声がかかった
現場で働き始めてから声がかかるまでは、1年未満でした。どんなやり取りだったかは、会社が特定されるおそれがあるため伏せます。
派遣・客先常駐で働いてよかった面として、現場での評価が直接雇用につながる場合があることが挙げられます。私のケースも、その一つでした。
所属会社とは大きな揉め事なく、退職して転籍した
所属会社とのあいだで、大きな揉め事はありませんでした。所属会社を退職し、現場だった企業に正社員として入社しています。
ただし、これは私のケースです。契約内容や会社同士の関係によっては、調整に時間がかかることもあると考えておく方が安全です。
給与と休暇は確認した。でも賞与・長期休暇・福利厚生まで見るべきだった
話を受けるとき、給与や休暇といった基本的な条件は確認しました。一方で、長期休暇の有無や賞与、福利厚生までは確認していませんでした。
現場の雰囲気や仕事内容を知っている分、条件面の確認が後回しになりやすい。これは引き抜きの話で特に注意したい点です。
私が確認しておけばよかったこと
- 長期休暇(夏季・年末年始など)があるかどうか
- 賞与があるかどうか、支給の条件
- 福利厚生の内容
転籍後、待遇は良くなった。でも悩みは続いている
正社員になって、雇用の安定や収入、有給の取りやすさは以前より落ち着きました。事務・管理業務を経験できるようになった点も、よかったと思っています。
一方で、思っていたほどには残業が減らず、人間関係の悩みも続いています。だから今は、次こそ後悔しない「最後の転職」にしたいと考えています。

派遣先への直接雇用で紹介料はかかる?働く側の負担と流れ
紹介料のやり取りは派遣会社と派遣先企業の間の話
派遣会社が職業紹介の許可も持っている場合、直接雇用時の紹介手数料を企業間で取り決めていることがあります。手数料を払うのは派遣先企業で、派遣社員が払うものではありません。
紹介予定派遣では、派遣期間を短くして早めに直接雇用する場合に、それに応じた手数料を設定することも認められています。
出典:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領 第8」16(2026年10月26日確認)
紹介料が理由で話が止まることもある
派遣先から見ると、紹介料は採用コストです。誘いたい気持ちはあっても、費用や契約の確認で話が進みにくくなることも考えられます。
話が出たら、「派遣会社との手続きはどう進める予定か」を派遣先の担当者に聞いておくと、入社までの見通しが立ちやすくなります。
直接雇用までの流れ
- 条件を書面で確認する
雇用形態・給与・賞与・休日・入社日を、口頭ではなく書面でもらう - 契約の満了日を確かめる
派遣会社との雇用契約がいつまでかを確認する - 派遣会社の担当者に伝える
満了で終了したいことと、直接雇用の話があることを早めに共有する - 企業間の手続きを待つ
紹介手続きなどが必要な場合は、派遣会社と派遣先で調整される - 満了後に入社する
派遣先と雇用契約を結び、正社員などとして働き始める
直接雇用の話を受ける前に確認したいチェックリスト
引き抜きの話は、慣れた職場で働き続けられる分、条件の確認が甘くなりがちです。次の項目は、労働条件通知書などの書面で確認しておきましょう。
- 雇用形態は正社員か、契約社員か(直接雇用=正社員とは限らない)
- 月給・手当と、派遣時代の時給からの年収換算
- 賞与の有無と、支給の条件
- 年間休日、完全週休2日か、長期休暇の有無
- 残業の見込みと、固定残業代の有無
- 試用期間の有無と、その間の条件
- 仕事内容・責任範囲が派遣時代からどう変わるか
- 福利厚生(各種手当・退職金など)の内容
▶関連記事:正社員なのに派遣先勤務?求人票の見方と確認ポイント
直接雇用が「得」とは限らないケース
- 時給の高い派遣から月給制に変わると、年収で比べて下がる場合があります
- 業務範囲や責任が広がり、派遣時代より忙しくなる可能性があります
- 勤務時間や責任範囲を重視するなら、派遣のままの方が合う人もいます。断るのも選択肢です
派遣先から声がかからない・待てない人の3つの選択肢
引き抜きは、派遣先の事情に左右されます。待つだけでなく、自分から動ける方法も持っておきましょう。
①派遣会社に直接雇用の希望を伝える
同じ組織単位で長く働く見込みがあるなら、雇用安定措置として、派遣会社が派遣先へ直接雇用を依頼する仕組みがあります。希望は早めに担当者へ伝えておきましょう。
②紹介予定派遣で、直接雇用を前提に働く
最長6か月の派遣期間のあとに、直接雇用するかを判断する働き方です。「待っていても声がかからない」という不安を減らせます。
③転職エージェントで外の正社員求人と比べる
今の派遣先だけを選択肢にすると、条件を比べる材料がありません。外の求人と並べることで、引き抜きの条件が本当に良いのかも判断しやすくなります。
私は過去の転職活動で、就職カレッジとキャリアスタートを使ったことがあります(キャリナビと合わせて3社で合計半年ほど)。細かい内容は記憶があいまいなので、各社の今の内容は公式情報で確認しています。
| サービス | 主な対象(運営会社の公表情報) | 私の利用 |
|---|---|---|
| 第二新卒エージェントneo | 20代の第二新卒・既卒・フリーターなど | 未利用 |
| 就職カレッジ(ジェイック) | 既卒・第二新卒・フリーター。無料の就職支援講座と書類選考なしの面接会 | 過去に利用 |
| キャリアスタート | 第二新卒・新卒・フリーターなど若手の就転職支援 | 過去に利用 |
出典:株式会社ネオキャリア「キャリアトラス」/株式会社ジェイック プレスリリース(2026年9月4日)/キャリアスタート株式会社 企業情報(Green)(2026年10月26日確認)

登録・相談は無料。複数比較した方が条件の良い求人に当たりやすいです。
※相談だけでもOKです。
派遣の直接雇用・引き抜きでよくある質問
派遣先から誘われたことは、派遣会社に伝えるべき?
伝えておくのがおすすめです。満了後の直接雇用を派遣会社は禁止できませんが、紹介手続きなど企業間の調整が必要になる場合があります。先に共有しておくと、入社日の調整などが進めやすくなります。
無期雇用派遣(派遣型正社員)でも引き抜きは可能?
可能です。33条は、派遣会社との雇用関係が終わった後の就職を制限する契約を禁じています。無期雇用の場合は契約の満了がないため、就業規則に沿って派遣会社を退職してから入社する形になります。
直接雇用された後に辞めたら、派遣で同じ会社に戻れる?
原則として戻れません。離職後1年以内の人を元の勤務先に派遣することは禁止されています(60歳以上の定年退職者を除く)。戻れる前提で決めず、条件の確認を丁寧にしておきましょう。
出典:横浜市「働く人のためのガイドブック」派遣労働者(2026年10月26日確認)
自分から「直接雇用してほしい」と伝えてもいい?
希望を伝えること自体は自由です。ただ、派遣先は人事や予算の判断が必要です。まずは派遣会社の担当者に希望を伝え、派遣会社から打診してもらう方が進めやすいと考えられます。
まとめ:派遣の引き抜きは「満了後」と「書面での条件確認」がカギ
引き抜きの話が来たら押さえたい5つのこと
- 契約満了後の直接雇用は、派遣会社が禁止できない(派遣法33条)
- 契約期間中の移籍は制限されうる。入社日は満了後に設定する
- 法律上の待機期間はない。声がかかる時期は派遣先しだい
- 業務委託・SESは派遣と扱いが違う。自分の契約を確認する
- 給与だけでなく、賞与・長期休暇・福利厚生まで書面で確認する
引き抜きは、慣れた職場で正社員になれるチャンスです。一方で、私のように条件の確認が甘いまま決めると、入社後に「思っていたのと違う」が出てきます。
声がかかっている人は条件を書面で、まだの人は外の求人とも比べてみてください。今度こそ後悔しない選択にするために、比べる材料を増やしておきましょう。
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調べた範囲(2026年10月26日確認)
制度の内容は一般的な説明です。個別の契約については、都道府県労働局などに相談してください。
