「残業なし」と書かれた求人票を信じて会社を選んでも、実際の働き方までは分からない――そう感じた経験が、私にもあります。


この記事でわかること
- 「残業なし」の求人票が嘘っぽく見える3つの理由
- 求人票の嘘を見抜くチェックリスト5選
- 残業以外のブラック企業の危険サイン
- 求人票だけではわからない情報の調べ方
- 面接・内定後に残業の実態を確認する具体的な聞き方
- 入社後に「違った」と感じたときの対処法と相談先
「残業なし」「残業ほぼなし」の求人票が嘘っぽく見える理由
結論から言うと、「残業なし」と書かれた求人票のすべてが嘘というわけではありません。ただし、誇大表現や意図的な省略が含まれているケースは少なくありません。
求人票が実態とズレやすい3つのパターン
- 会社全体の平均値で残業時間を表記している
- 「みなし残業」「固定残業代」で残業を見えにくくしている
- 「定時で帰れるかは個人次第」という職場文化が残っている
求人票の残業時間は、会社全体の平均値であることが多いです。部署ごとの差が大きくても、平均でまとめると実態とかけ離れることがあります。
「月給25万円(みなし残業代含む)」のような表記も要注意です。一定時間分の残業代を給与に含める仕組みで、時間が長いほど残業も多い傾向があります。
なお、時間外労働の上限は原則として月45時間・年360時間です(労働基準法第36条、厚生労働省「働き方改革関連法」)。
また、「残業なし」と書きながら、周囲が残っていて帰りにくい職場もあります。口コミを調べると、雰囲気的に帰れないという趣旨の声も見られました。
求人票の嘘を見抜くチェックリスト5選
「残業なし」を信じていいかどうかは、次の5点で判断します。まず全体像をチェックしてから、それぞれ詳しく見ていきましょう。
応募前に見る5つのチェック項目
- 固定残業代・みなし残業の時間数が明記されているか
- 年間休日数が120日以上、かつ完全週休二日制か
- 平均残業時間が具体的な数字で書かれているか
- 社会保険完備と明記されているか
- 雇用形態が正社員(無期雇用)と明記されているか
①固定残業代・みなし残業の時間数を確認する
固定残業代の時間数は、実際の残業量を推測する手がかりになります。時間数が書かれていない求人は要注意です。
若者雇用促進法に基づく指針や職業安定法の指針では、固定残業代を採用する場合に次の3点を明示するよう求めています。
求人票に書かれているべき固定残業代の3項目
- 固定残業代に関する労働時間数と金額などの計算方法
- 固定残業代を除いた基本給の額
- 固定残業時間を超えた分の割増賃金を追加で支払うこと
出典:厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク「固定残業代を賃金に含める場合は、適切な表示をお願いします」
| みなし残業時間 | 入社後の残業の目安 | 判断 |
|---|---|---|
| 〜20時間 | 比較的少なめ | ◎ |
| 20〜40時間 | 月40時間前後の残業が想定される | △ |
| 40時間以上 | 残業が常態化している可能性大 | × |
②年間休日数が120日以上か確認する
残業と休日は表裏一体です。厚生労働省「令和7年就労条件総合調査」では、労働者1人平均の年間休日総数は116.6日でした(2024年の実績)。
同じ調査の1企業平均は112.4日です。120日以上あれば、平均より休みが多い部類に入ります。
| 年間休日数 | 週休の目安 | 判断 |
|---|---|---|
| 120日以上 | 完全週休2日+祝日休み | ◎ホワイト寄り |
| 114〜119日 | ほぼ週休2日 | 〇平均的 |
| 105〜113日 | 月1〜2回土曜出勤あり | △ |
| 104日以下 | 土曜出勤が常態化 | ×要注意 |
「週休二日制」と「完全週休二日制」は別物です。完全週休二日制は毎週必ず2日休めます。
一方の週休二日制は、月に1度でも週2日休める週があれば表記できます。求人票では「完全週休二日制」かどうかを確認してください。
③平均残業時間が具体的な数字で書かれているか確認する
「残業少なめ」「残業ほぼなし」など曖昧な表現しかない場合は警戒が必要です。本当に残業が少ない会社は、具体的な数字で書く傾向があります。
OK例・NG例で見分ける
- OK例:「平均残業時間:月8時間(実績)」
- NG例:「残業少なめ」「残業ほぼなし」
- NG例:「ノー残業デー導入」(=残業がある前提の取り組み)
「ノー残業デー」は、もともと残業がある会社が削減に取り組む制度です。残業が少ない会社には不要なため、逆に残業ありのサインになることがあります。
④社会保険完備かどうかを確認する
長く安心して働くには、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の4つが欠かせません。「社会保険完備」と書いてある求人は、この4つが揃っています。
書いていない、あるいは「一部加入」と書いてある求人は注意が必要です。
⑤雇用形態が本当に「正社員(無期雇用)」か確認する
求人票に「正社員」と書いてあっても、実態は契約社員というケースがあります。「試用期間後に正社員登用を検討」という書き方にも注意しましょう。
| 表記 | 意味 | 注意度 |
|---|---|---|
| 正社員(無期雇用) | 最初から正社員 | ◎ |
| 正社員登用あり | まずは契約社員として採用 | △ |
| 試用期間後に正社員 | 試用期間は別の雇用形態 | △条件確認必須 |
| 正社員(有期雇用) | 期限付きの正社員 | ×実質は契約社員 |
口コミでは、登用前提と聞いたのに何年も契約社員のままだったという趣旨の声も見られます。「正社員登用あり」は、登用の保証ではありません。
自分だけでは求人票の裏付けが取りにくいなら、エージェントに実態を確認してもらう方法もあります。業界・職種を横断して提案するタイプなら、ANNA(旧エフリーエージェント)が候補です。
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残業以外にもある!ブラック企業を見分ける危険サイン
残業の少なさを確認できても、それだけで安心とは言えません。求人票と面接には、残業以外のブラック企業のサインも表れます。
なお「ブラック企業」は一般的な言葉で、法律上の定義はありません。ここでは、長時間労働や休みにくさなど、労働条件に問題がある企業を指します。
1つ当てはまっただけで、応募をやめる必要はありません。複数の違和感が重なるかどうかで判断してください。
求人票でわかるブラック企業の危険サイン3つ
まずは求人票です。書かれていること以上に、書かれていないことに注目してください。
| 危険サイン | 見るポイント | 決めつけないための注意 |
|---|---|---|
| 同じ求人が長期間出続けている | 数か月以上、同じ内容で掲載されていないか | 通年採用や事業拡大の企業もある。募集理由を面接で聞く |
| 仕事内容と勤務地があいまい | 勤務地・配属先・具体的な業務が書かれているか | 「事務」「サポート」だけの記載は面接で詳しく聞く |
| 精神論の言葉が目立つ | 「やる気重視」「気合のある方歓迎」が中心になっていないか | 仕組みより個人の頑張りに頼っている可能性がある |
勤務地については、私自身、正社員として入社したのに実際は派遣先で働く形でした。応募前に、勤務先や配属形態まで確認すればよかったと感じています。
正社員募集でも、勤務先が派遣先や客先になる働き方はあります。仕組みや注意点は次の記事で整理しています。
▶関連記事:無期雇用派遣はやめとけ?後悔しやすい人の特徴とデメリット7つを解説!
面接で見抜くブラック企業の危険サイン4つ
面接は、会社の説明の仕方を見られる貴重な機会です。質問への答え方に、会社の姿勢が表れます。
| 危険サイン | 確認のしかた | 注意したい反応 |
|---|---|---|
| 面接官の態度・選考の進め方が不自然 | 面接官の話し方、応募から内定までの速さを見る | 高圧的、質問を嫌がる、承諾を急かす |
| 具体的な質問に答えない | 1日の流れ、繁忙期の残業、有給の取得状況を聞く | 「人による」「入ってみれば分かる」で終わる |
| 離職率・定着状況をはぐらかす | 直近の離職率や、入社3年後の定着状況を聞く | 数字を出さない、話題をそらす |
| 職場を見せる機会がない | 職場見学や社員と話す機会があるか聞く | 理由なく断られる(見学なしだけで即NGではない) |
有給や休憩の質問をしたときの反応も、判断材料になります。法律で決まっている基本は次のとおりです。
休憩・有給に関する法律の基本
- 労働基準法第34条:労働時間が6時間を超えると45分以上、8時間を超えると1時間以上の休憩が必要
- 労働基準法第39条:6か月続けて勤務し、全労働日の8割以上出勤すると年次有給休暇が付与される
- 年10日以上の有給が付与される人には、会社が年5日を取得させる義務がある
注意したい企業と安心材料が多い企業の違い
ここまでの確認項目を、傾向として比べると次のとおりです。あくまで目安として使ってください。
| 比較項目 | 注意したい傾向 | 安心材料になりやすい例 |
|---|---|---|
| 求人 | 同じ求人が長期間続き、「急募」が多い | 募集の理由を説明できる |
| 残業代 | 固定残業の内訳が不明瞭 | 時間数・金額・超過分の扱いが明記されている |
| 離職率 | 質問を避ける | 数字を示して答える |
| 社風の説明 | 精神論や根性論が中心 | 仕事の進め方や仕組みで説明する |
1つの項目だけで、企業の良し悪しは決まりません。複数の情報を並べて、総合的に判断してください。
求人票だけではわからない情報の調べ方
チェックをクリアした求人でも、求人票だけでは分からない情報があります。第三者の情報と公式情報を照らし合わせて、さらに深掘りしましょう。
求人票以外で確認したい3つの方法
- 口コミサイトで残業・休日の実態に関する投稿を確認する(1〜2年以内の新しい投稿を優先)
- 公式の採用ページや、上場企業なら統合報告書などで離職率・平均残業時間を確認する
- 転職エージェントに「残業の実態を教えてほしい」と直接聞いてみる
口コミは「点数」より「共通するテーマ」を見る
口コミは点数よりも内容を見ます。「残業」「有給」「ハラスメント」「給与」で、同じ指摘が複数ないかを確認しましょう。
1件だけの強い意見で判断しないことも大切です。ポジティブ・ネガティブの両方を読み、投稿時期の新しさも確かめてください。
会社情報が具体的に確認できるか
公式サイトで、事業内容・所在地・代表者名などを確認します。情報が極端に少ない会社は、ほかの情報源でも裏を取りましょう。
転職エージェントは、企業の採用担当者と直接やり取りしています。求人票にない職場環境を把握している場合もあります。
面接・内定後に残業の実態を確認する方法


面接の途中で残業について聞くのは、多少リスクがあります。ただし、確認せずに入社するほうがリスクは大きくなります。
面接・オファー面談で使える確認フレーズ
そのまま使える確認フレーズ
- 「配属予定の部署の、直近3か月の平均残業時間を教えていただけますか」
- 「繁忙期はどのくらいの残業になりますか」
- 「定時で帰ることについて、職場の雰囲気はどうですか」
これらは、最終面接後の「オファー面談」で確認するのが最も安全です。オファー面談の依頼は失礼にはあたりません。
依頼を断られた場合、それ自体が実態を知られたくないサインである可能性があります。エージェント経由なら、企業側への確認を代わりに頼むこともできます。
内定後・承諾前に確認したい4つのポイント
内定が出ても、承諾前にもう一段階の確認が必要です。求人票との違いに気づける最後の機会だからです。
承諾前に確認する4つの書類・条件
- 労働条件通知書:給与・休日・残業の扱いが求人票と一致しているか。2024年4月からは、就業場所と業務の「変更の範囲」も明示事項に加わっています
- 雇用契約書:労働条件通知書と内容が食い違っていないか。疑問点は入社前に質問する
- 試用期間の条件:期間、試用期間中の給与、本採用後の条件が明記されているか
- 入社承諾の期限:その場で承諾せず、検討する時間を確保できるか。短すぎるときは延長を相談する
労働基準法第15条により、会社には賃金や労働時間などの労働条件を明示する義務があります。通知書は、会社と交わす大切な約束の記録です。
出典:労働基準法第15条、厚生労働省「2024年4月からの労働条件明示のルール変更」
確認を怠ると、入社後に「話が違う」となりかねません。自分だけで聞くのが不安なら、条件確認をサポートしてくれるエージェントを頼るのも一つの方法です。
登録・相談は無料。複数比較した方が条件の良い求人に当たりやすいです。
※相談だけでもOKです。
「残業なし」だと思って入社したのに違った場合の選択肢
チェックを重ねても、入社後に「思っていた働き方と違う」と感じることはあります。その場合、無理に我慢し続ける必要はありません。
私自身、一度は「ゆるい正社員になれた」と感じた時期がありました。ただ働き続けるうちに、思っていたほどには残業が減らなかったのが正直なところです。
だからこそ今は、残業時間が求人票の記載と大きく変わらないかを重視して、仕事を選びたいと考えています。
入社後に「おかしい」と感じたときの対処4ステップ
問題に気づいても、感情的に動く必要はありません。順番に対処すれば、自分を守りやすくなります。
- 証拠を集める
出退勤の記録、業務指示のメッセージ、給与明細を保管します。日時と内容をメモしておくと役立ちます。 - 社内の相談窓口を使う
人事部やコンプライアンス窓口など、正式な相談先に状況を伝えます。 - 外部の機関に相談する
社内で解決しないときは、下の公的な相談先を使えます。いずれも無料です。 - 退職の準備を進める
改善が見込めないときは、退職も選択肢です。証拠があると、話を進めやすくなる場合があります。
| 相談先 | 主な役割 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| 労働基準監督署 | 残業代の未払いや長時間労働など、労働基準法違反の相談・申告を受け付ける | 証拠をもとに是正を求めたいとき |
| 総合労働相談コーナー | 各都道府県労働局や労働基準監督署内にあり、労働問題を幅広く相談できる | どこに相談すべきか分からないとき |
| 労働条件相談ほっとライン(0120-811-610) | 厚生労働省の委託事業。平日夜間・土日に無料で電話相談でき、匿名も可能 | 日中に時間が取れないとき |
出典:厚生労働省「労働条件相談ほっとライン」(2026年10月時点。受付曜日・時間は公式サイトで最新情報をご確認ください)
無理をして心身を壊す働き方は避けてください。退職を伝えるときの言い方は、次の記事で整理しています。
▶関連記事:退職を切り出せない人へ!角が立たない言い方と引き止め対策【元派遣が解説】
次は「定時で帰れる仕事」から探し直す
派遣を経て正社員を目指す方は、派遣の3年ルールがひどい理由と対策も参考にしてください。
定時退社を重視するなら、男性版ゆるい仕事ランキング・女性版ゆるい仕事ランキングも参考になります。
業界・職種の絞り込みに迷う場合は、自分軸から判断する業界・職種の絞り込み方が役立ちます。
「ゆるい仕事」の定義や探し方の全体像は、次のガイド記事でまとめています。
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関連ゆるい仕事とは?精神的に楽な職種の特徴や見つけ方を徹底解説【探し方ガイド】
「ゆるい仕事」で検索するのは、甘えではなく、無理なく働き続けたいという切実な希望からだと思います。 ...
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FAQ|よくある質問
求人票に「残業なし」と書いてあれば、入社後も残業はないですか?
保証はできません。会社全体の平均値だったり、採用時点の条件提示だったりする場合があります。年間休日数・みなし残業の有無・具体的な残業時間の数値をあわせて確認し、気になる点はオファー面談で聞きましょう。
「固定残業代あり」の求人は避けたほうがいいですか?
一概にNGではありません。制度そのものは違法ではないためです。みなし残業時間が20時間以内なら比較的問題が少なく、40時間以上は常態化している可能性が高いです。超過分の追加支給が明記されているかも確認してください。
面接で残業のことを聞いても印象が悪くなりませんか?
面接の途中で聞くのはやや気を遣いますが、最終面接通過後のオファー面談なら安全です。聞き方も「直近3か月の平均」など具体的にすると、意欲の低さとは受け取られにくくなります。断られた場合は、それも判断材料にしましょう。
入社後に求人票と労働条件が違っていた場合、どうすればいいですか?
明示された労働条件が事実と異なる場合、労働基準法第15条により労働契約を即時に解除できます。まずは通知書と実態の違いを記録しましょう。相談先は、ハローワーク経由の求人ならハローワーク、それ以外は総合労働相談コーナーなどです。
求人が常に出ている会社は避けるべきですか?
避けるべきとは限りません。通年採用や事業拡大で募集が続く会社もあるためです。ただし人の入れ替わりが多い可能性もあるので、募集の理由や定着状況を面接で確認してください。納得できる説明があるかどうかが分かれ目です。
口コミサイトの評価は、どこまで信じてよいですか?
参考情報の一つとして使い、1件だけで判断しないでください。投稿時期が古い口コミもあります。複数の口コミで同じ指摘があるかを見るのがコツです。公式サイトや面接で聞いた内容とも照らし合わせ、ズレがないか確認しましょう。
まとめ|求人票の「残業なし」を見抜いて後悔しない転職を
この記事の要点
- 「残業なし」は、固定残業代の時間数・年間休日・具体的な残業時間の3点で裏を取る
- 求人の長期掲載、あいまいな勤務地、精神論の言葉は、残業以外の危険サイン
- 面接では、具体的な質問への答え方と離職率への反応を見る
- 内定後は、労働条件通知書と雇用契約書が求人票と一致しているか承諾前に確認する
- 入社後に違ったら、証拠を残して社内窓口・公的な相談先を順に頼る
「残業なし」の正社員は、確かに存在します。ただし、求人票の文言をそのまま信じるだけでは、同じ失敗を繰り返すリスクがあります。
この記事のチェックポイントを使って、今日から求人を見直してみてください。一人で判断に迷うときは、エージェントに相談しながら進めると実態を確認しやすくなります。
登録・相談は無料。複数比較した方が条件の良い求人に当たりやすいです。
※相談だけでもOKです。


