転職したいのに、何から手をつければいいか分からず足が止まっていませんか。


自己分析があいまいなまま転職活動を進めると、入社後に「求人票のイメージと違った」と感じやすくなります。棚卸しシートの手順に加えて、やりたいことがない人向けの考え方もまとめました。
この記事でわかること
- 棚卸しシートを使った経歴・スキルの整理手順
- 譲れない条件と妥協できる条件の見分け方
- Will-Can-Mustで自分に合う仕事の方向性を見つける方法
- やりたいことがない人が、仕事を「動詞」で考えて絞る方法
- 自己分析の結果を求人選び・職務経歴書に活かすコツ
自己分析は、派遣から正社員を目指す転職の最初の一歩です。全体の進め方は、次の記事で整理しています。
▶関連記事:派遣から正社員になる方法5つ!厚労省データで見る確率と30代の現実とは?
自己分析をしないまま転職するとどうなるか
自己分析を後回しにして求人探しから始めると、「正社員なら大丈夫だろう」といった条件だけで会社を選びやすくなります。私自身、新卒時は仕事内容を深く考えず、正社員であることや内定の早さを基準に会社を選びました。
実際は派遣先で働く形で、次の転職でも未経験歓迎の求人を中心に選ぶことになりました。何を重視するかを決めないまま選ぶと、同じ迷いを繰り返しやすくなります。
厚生労働省「令和7年雇用動向調査結果の概況」によると、転職入職者のうち前職より賃金が減少した割合は31.0%です。約3割が、収入面で前職を下回っている計算になります。
前職を辞めた理由では、女性は「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」12.9%が最も多くなっています。男性でも「給料等収入が少なかった」9.9%が上位です。
求人票の条件だけでなく、自分が何を重視するのかを事前に整理しておくことが、こうしたミスマッチを避ける手がかりになります。
出典:厚生労働省「令和7(2025)年雇用動向調査結果の概況」(2026年8月31日公表、2026年10月23日確認)
転職の自己分析|基本の5ステップ
自己分析は難しく考える必要はありません。次の5つのステップで、経歴を書き出しながら整理していきます。
| ステップ | やること |
|---|---|
| ①経歴の棚卸し | これまでの職歴・担当業務・成果を時系列で書き出す |
| ②感情の整理 | やりがいを感じた場面、つらかった場面を思い出す |
| ③強み・弱みの言語化 | ①②から共通する得意なこと・苦手なことを抜き出す |
| ④譲れない条件の明確化 | 休日・勤務地・仕事内容・働き方などの優先順位をつける |
| ⑤Will-Can-Mustで統合 | やりたいこと・できること・求められることを重ね合わせる |
ポイントは、最初から文章として整えようとしないことです。まずは箇条書きで、事実を思い出せる範囲でどんどん書き出してください。
5つのステップは、順番通りに一気に終わらせる必要はありません。思い出すたびに書き足していく形でも構いません。
棚卸しシートの書き方と記入例
ここからは、実際に手を動かして書き込める棚卸しシートを紹介します。転職サイト各社も同様のシートを無料公開していますが、この記事の表をそのまま使っても整理できます。
| 項目 | 書き出す内容 | 記入例 |
|---|---|---|
| 職歴・担当業務 | 会社名は伏せてよいので、業種・職種・期間を書く | 接客業/販売スタッフ/2年 |
| 成果・工夫した点 | 数字や具体的な行動で書く | クレーム対応の手順を整理し、対応時間を短縮した |
| やりがいを感じた瞬間 | 誰かに感謝された、達成感があった場面 | お客様から直接お礼を言われたとき |
| 苦手だった業務・環境 | ストレスを感じた業務内容や職場環境 | ノルマに追われる環境、突発的な残業 |
| 身についたスキル | 専門知識だけでなく対応力・調整力も含める | 電話対応、スケジュール調整、クレーム対応 |
| 譲れない条件 | 休日・勤務地・給与・仕事内容の優先順位 | 完全週休2日制、残業月10時間以内 |
すべての欄を一度で完璧に埋める必要はありません。思い出せない部分は空欄のままにして、後から見直しても大丈夫です。
Will-Can-Mustで深掘りする3つの質問
棚卸しシートで事実を書き出したら、3つの視点で深掘りします。Will(やりたいこと)・Can(できること)・Must(求められること)です。
自分に問いかけたい3つの視点
- Will:本当はどんな働き方・仕事内容を望んでいるか
- Can:棚卸しシートから見えた強み・スキルは何か
- Must:応募したい求人・業界で求められている経験やスキルは何か
3つが重なる部分が少ないと感じても、焦る必要はありません。Mustの範囲を広げに行くか、Willの優先順位を見直すかを考える材料になります。


やりたいことがない人の自己分析|仕事を「動詞」で考える
Will-Can-Mustを試しても、Willの欄だけが空白のまま止まる人は少なくありません。やりたいことは、自己分析のスタート地点でなくても大丈夫です。
ここでは、やりたいことが見えなくなる原因をほどいたうえで、棚卸しシートの中身から仕事の方向性を絞る考え方を紹介します。
やりたいことが見えなくなる3つの原因
やりたいことが見つからないのは、意欲が足りないからとは限りません。多くは、考える順番や探し方でつまずいています。
| 原因 | 起きていること | 抜け出すヒント |
|---|---|---|
| 得意なこととやりたいことを混同している | 「好きで得意な仕事」を探して、条件に合うものが見つからない | 先に「苦にならずにできたこと」を書き出す |
| 職種名(名詞)だけで探している | 「営業」「事務」など名前で考え、選択肢が狭まる | 仕事を「話す」「まとめる」など動詞に分解する |
| 情報が多すぎて選べない | 求人・口コミ・SNSを見比べるほど、決められなくなる | 給与・休日・勤務地・業務内容の優先順位を先に決める |
3つ目の判断軸は、棚卸しシートの「譲れない条件」欄で整理できます。1つ目と2つ目は、次の2つの考え方でほどいていきましょう。
仕事を「動詞」で考える
職種名ではなく、「人と話す」「データを整理する」「手を動かして作業する」など、動詞で仕事を捉え直します。名前は同じ仕事でも、毎日の作業がまったく違うことがあるからです。
たとえば同じ「事務職」でも、中心になる作業で求められる適性は変わります。
| 求人の種類 | 中心になる作業(動詞) | 向いている可能性がある人 |
|---|---|---|
| 電話・来客対応が多い事務 | 話す・聞く・取り次ぐ | 人とのやり取りが苦にならない人 |
| 資料作成が中心の事務 | まとめる・入力する・確かめる | 1人で黙々と進めたい人 |
| 調整が多い営業事務 | 段取りする・連絡する・調整する | 複数の作業を並行して進められる人 |
苦にならない動詞は、棚卸しシートの中から見つけられます。次の順で書き出してみてください。
- シートの2つの欄を見返す
「やりがいを感じた瞬間」と「苦手だった業務・環境」の欄を読み直します。 - 場面ごとに、していたことを動詞で書く
「お礼を言われた」なら「相手の困りごとを聞いて解決した」のように書き換えます。 - 苦にならなかった動詞を2〜3個に絞る
求人票の仕事内容に、その動詞が多く含まれるかを確かめます。
私も過去の転職活動で、キャリナビを使って「何をしたいか」を考えたことがあります。具体的な職種までは絞れませんでしたが、方向性は決められました。
職種名が1つに決まらなくても、方向性が見えれば求人は選べます。一人で整理するのが難しい人は、対話しながら考える方法もあります。
▶関連記事:キャリナビの口コミ評判を調査!適正診断で転職の方向性がわかる使い方を解説!
得意なことと苦にならないことで絞る
やりたいことが分からなくても、得意なことと苦にならないことが重なる仕事は続けやすい可能性があります。反対に、やりたい気持ちだけで選んだ仕事が、苦手な作業ばかりだったというケースもあります。
2つの軸を組み合わせると、候補の優先順位が見えてきます。
| 組み合わせ | 考え方 |
|---|---|
| 得意で、苦にならない | 第一候補。応募の優先順位を上げる |
| 得意だが、苦になる | 短期なら続くが疲れがたまりやすい。その作業の比重が小さい求人を選ぶ |
| 得意ではないが、苦にならない | 慣れで伸びる余地がある。研修や教育体制がある求人なら候補になる |
| 得意でも、苦にならないわけでもない | 候補から外す |
判断に迷ったときほど、感情ではなく実績に戻ると考えやすくなります。棚卸しシートの「成果・工夫した点」と「身についたスキル」の欄が、その実績です。
苦にならないことを逆から探す方法として、「やりたくないこと」を先に外す消去法もあります。ゆるい仕事の消去法とNGリストの作り方は、次の記事で解説しています。
▶関連記事:【3分診断】ゆるい仕事の見つけ方を解説!理想の働き方で後悔しない転職へ!
派遣・未経験からの転職で自己分析につまずきやすい人の共通点
つまずきやすいポイント
- 雇用形態や内定の早さだけで会社を選んでしまう
- 求人票の記載と、実際の勤務形態・勤務先の違いを確認しないまま応募する
- 未経験歓迎求人ばかりを選び、身につくスキルや将来のキャリアを考えない
冒頭で触れた私の新卒時の失敗は、1つ目にそのまま当てはまります。会社へ応募する前に、希望する休日や仕事内容、働き方を明確にしておけば良かったと感じています。
雇用形態だけで会社を選ばず、実際に働く場所や派遣・客先常駐の有無を確認する意識が大切です。具体的な仕事内容まで確認しておくことが、次の転職での判断材料になります。
ただし、求人ごとに事情は異なります。すべての派遣・未経験転職に当てはまるわけではないので、自己分析を進めるうえでの視点の一つとして参考にしてください。
棚卸しシートの結果を仕事選びに活かす方法
棚卸しシートと譲れない条件が整理できたら、それを実際の求人選びに当てはめていきます。求人票は上から順に読むのではなく、自分が整理した優先順位と照らし合わせながら確認すると判断しやすくなります。
「残業の少なさ」「業務範囲の明確さ」など、ストレスの少ない働き方を優先したい人もいるはずです。その場合は、業界・職種ごとの特徴を比較しておくと選びやすくなります。
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自己分析で見えた「譲れない条件」を、求人票とひとつずつ照らし合わせましょう。それが、入社後のミスマッチを減らす一番の近道です。
自己分析の結果を職務経歴書・面接で伝える
棚卸しシートで整理した内容は、求人選びだけでなく、職務経歴書や面接での自己PRにもそのまま使えます。特に「成果・工夫した点」「身についたスキル」の欄は、書類や面接での回答の土台になります。
逆に、自己分析をせずに職務経歴書を書き始めると、何を強みとして伝えればよいか分からなくなりがちです。経歴を時系列で並べるだけの内容になりやすいため、棚卸しシートを先に埋めておくと書類作成の時間も短縮できます。
自己分析だけで転職先が決まらないときの選択肢
ここまでの手順で自己分析を進めても、応募する求人まで絞り切れないこともあります。一人で何度も見返していると、同じ考えの範囲を堂々巡りしてしまうことも珍しくありません。
私も複数の転職エージェントを利用しましたが、担当者によって提案内容や相性に差があると感じました。自分では気づかなかった強みや、条件に合う求人を提示してもらえることもあります。自己分析の結果を伝えたうえで、相談してみるのも一つの方法です。
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よくある質問
自己分析はどのくらいの時間をかけるべきですか
棚卸しシートを埋めるだけなら、1〜2時間程度でも始められます。ただし一度で終わらせようとせず、応募書類を書く段階や面接前にも見直すと精度が上がります。
強みが見つからない場合はどうすればいいですか
担当した業務内容だけでなく、周囲から頼まれたことや自然と続けられた行動から探すと見つかりやすくなります。専門スキルがなくても、対応力や調整力も強みの一つです。
やりたいことが最後まで見つからなくても転職していいですか
問題ありません。得意なこと・苦にならないこと・譲れない条件の3つがそろえば、応募先は選べます。やりたいことは、働きながら少しずつ見えてくることもあります。ただし未経験歓迎などの条件だけで決めず、実際の仕事内容まで確認しましょう。
周りにやりたいことがある人が多くて焦ります。どうすればいいですか
周りと比べる必要はありません。冒頭で紹介した厚生労働省の調査でも、前職を辞めた理由の上位は労働条件や収入、人間関係でした。やりたいことが決まってから動く人ばかりではないので、自分のペースで棚卸しを進めれば十分です。
自己分析シートは転職エージェントでも使えますか
使えます。棚卸しシートの内容を伝えることで、担当者からの提案がより希望に近い求人になりやすくなります。
自己分析をしても希望条件が絞れません
すべての条件を一度に決めようとせず、まずは「絶対に譲れない条件」を1〜2個だけ決めることから始めてください。優先順位が明確になれば、残りの条件は求人を見ながら調整できます。
自己分析で軸が決まったら、次は正社員を目指すルート選びです。
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まとめ
転職の自己分析は、棚卸しシートで事実を書き出すところから始まります。やりたいことがなくても、手順と考え方さえ分かれば進められます。
この記事のポイント
- 自己分析を後回しにすると、入社後のミスマッチにつながりやすい
- 棚卸しシートで、経歴・やりがい・苦手なこと・譲れない条件を書き出す
- Will-Can-Mustで深掘りし、Willが空欄ならCanとMustから考える
- やりたいことがないときは、仕事を動詞で分解し、得意×苦にならないで絞る
- 一人で判断が難しいときは、第三者の視点を借りる
まずは棚卸しシートの空欄を、埋められるところから書き出してみてください。完璧を目指す必要はありません。


